【ENTRY25】刀都の鬼才・小説家「風羅 真」による日本刀のまちの地域活性化

飛び公名

中島真也さん(岐阜県関市)

活動名

刀都の鬼才・小説家「風羅 真」による日本刀のまちの地域活性化

活動概要

日本一の刃物のまち、また日本の「刀都」といわれる岐阜県関市の日本刀や関市近隣の歴史にちなんだ歴史小説を執筆し続けている。創作歴は8年ほどで、岐阜県文芸祭で2回入賞している。若者にも親しみやすい作風で、小説投稿サイトやツイッターなどでは、日本刀女子や歴史愛好家などの多くのファンもつきはじめ、執筆活動を「日本刀のまち」の地域活性化につなげたいと意気込んでいる。

きっかけとあゆみ

文化課で関伝日本刀鍛錬技術保存会の事務局を5年間務めたときに、刀匠や刀職の技に魅せられるとともに日本刀の持つ美しさにも強く惹かれ、何とかこの関市特有の歴史や文化を広く世間にアピールすることはできないかと考えていた。
もともと歴史小説を読むのが好きで、多くを読んでいたが、関市をはじめ地元が舞台の作品が少ないことから、関市の刀匠や歴史上の人物をモチーフにストーリーを思い描き、多くの人の目に留まれば一石二鳥だと思い立ち、執筆を始めた。関市史や郷土史などの資料を読み込み、実際の出来事に創作の要素を盛り込む独自のスタイルで書き続けている。
二作品目となる「信長の刀鍛冶」は、岐阜県文芸祭創作部門で次点となる優秀賞を獲得。室町時代の関の刀匠「若狭守氏房(わかさのかみうじふさ)」が織田信長の抱え鍛冶となった史実を題材としている。作品中では、信長が氏房の刀を気に入った架空のエピソードとして、信長の愛刀「へし切長谷部」と切れ味を比べる場面が臨場感たっぷりに展開される。刀を制作する工程や刀鍛冶の思いも詳しく描写されている。
昨今の刀剣ブームもあり、小説が関市を訪れるきっかけになればと期待する。

アピールポイント

1.成果・効果

関市には鎌倉時代から続く日本刀づくりの長い歴史があり、独自の伝統の技法が現在に至るまで脈々と受け継がれている。また、孫六兼元や和泉守兼定といった優れた刀匠も多く輩出している。この関市独特の文化でもある日本刀や刀匠について創作をすることで、その芸術性と歴史を市外、県外へもわかりやすく紹介した。

2.チャレンジ性

難解ともいわれる日本刀の知識を幅広く吸収し、深く理解する努力をした。また、理解されにくい日本刀という芸術品を、信長などの歴史上の偉人が登場する小説を通して紹介し、最近の刀剣ブームに乗って親しみやすいものとするためのアイデアを絞った。

3.協働性

「信長の刀鍛冶」執筆にあたっては、関伝日本刀鍛錬技術保存会や地域の刀剣愛好家などから資料を収集し作品に盛り込み、協働して作品づくりに励んだ。その協働をきっかけに、関伝日本刀鍛錬技術保存会主催により、市の日本刀資料館「関鍛冶伝承館」で同作品に登場する刀などがメインの展示となる「若狭守氏房(わかさのかみうじふさ)特別展」が開かれ、実際の刀剣や作品づくりの際に作成した年表などが展示され、地域の文化振興に寄与した。

4.持続性

上記受賞後も市役所の自主研究グループなどにおいて創作をし続け、インターネットの小説投稿サイトやSNSを駆使し、関市の刀剣を全国に向けて発信している。また、今年度も自主研究グループ「関鍛冶歴史塾」を主宰し、若手職員にも刀剣について知ってもらうよう活動している。